日本歯科咬合学会発表
 
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バイトが高いのか?バイトでは低いのか?顎関節に問題があるのか?無いのか?この診査診断により補綴物は全く違うものになっています。バイトが高ければ歯根破折など歯牙の喪失につながります。低ければ他の部位の問題を引き起こす可能性があります。 
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ではどのように顎関節に変化が起きてくるか認識することが大切になってきます。
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作業側のアンテリアガイダンスの喪失が起きた場合、平衡側顆頭の顆頭ガイド面の損傷や形態変化が現れます
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平衡側の顆頭位が内側方向へ変位することにより、作業側の顆頭の外側への変位が起こります。
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平衡側の顆頭内側壁の損傷が大きくなればクレンチングなどにより咀嚼筋の緊張が強くなり、さらに顆頭を後内側に変位されていきます。また平衡側顆頭の運動としては内側→外側→前方と運動を大きくなり結果的に顆頭の可動域が増大します。これが顎関節滑液粘度の低下につながり、顎位のズレとして現れると考えられます。その他に咬合平面の変化、左右犬歯の歯軸傾斜の変化などが現れます。
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犬歯の歯軸の変化と顆頭位の変位によりガイドの方向、量の左右差が生じてきます。これが犬歯ガイドのM型、D型であると考えられます。
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その他に関節窩の存在する側頭骨の変化も考慮しなくてはなりません側頭骨は、側頭筋や胸鎖乳突筋、咬筋の筋肉の過活動影響を大きく受けます。側頭骨はその影響により前方回転、後方回転、外内側変位を起こします。
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 関節窩の回転、側頭骨、側頭筋、関節結節を乗り越えてのクレンチング。関節窩、顆頭の形態変化及び偏位があるため 模型上のOpenBite≠顆頭位の修正量
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上下顎が一対であり、その片方である下顎骨体の左右には顎関節が存在します。ですので上下顎の咬合の変化は顎関節に影響することは明確です。矢状面においても前歯、臼歯、顎関節という支持点のどれか1点が変化すれば必ず他の2点に変化を起こすことは明確です。それに加えて 顎位の偏位に伴って咀嚼筋、頭頚部の偏った筋肉の過活動が起こり頭位の変化につながります。
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関節窩内側壁の損傷が大きいことが確認出来ます。
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スプリントセット後、咬合調整を行い約2ヶ月経過後より左側側方運動時しにくいことと左側234咬合時の違和感が強いため234のMBの咬合調整を行いました。
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数回の咬合調整後、左側への側方運動はスムーズに動かせるようになり、違和感も消失。右側頸部、肩の張りも消失しました。咬合調整時の調整したガイド方向は側方、後側方方向
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術前、術後の正面セファロでは目立った変化はありませんでした。矢状面セファロでは顆頭位が大きく変化し、下顎が前方に変化したことが確認出来ます。
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顎関節のレントゲンでは、左側の顆頭位が前下方へ変位しいます。右側は左側ほどの偏位は認められませんが前下方への偏位が確認出来ます。
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顔面写真では、正面観で右傾斜であった頭位が補正されています。しかし肩峰の左右左は改善されていません。これは正面セファロで確認出来る上位頸椎の傾斜による頭位補正の影響であると考えます。
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顎位決定に際しては、最優先は主訴の解決と、術前より検査の目的と診断結果、治療経過についても、患者さんに説明し納得していただいたうえで治療をすすめ、患者さんの希望する範囲で治療を行うことが大変大切だと思います。模型を咬合器にトランスファーすることだけが顎位診断ではなく、頭蓋骨全体レベルでの顎位の認識が大切なのではないでしょうか。
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A.G.O咬合研究会
http://www.ago.co.jp/F_gakkai.html